本の紹介

デザイン思考の臨場感を感じよう:「まんがでわかるデザイン思考」を読んで

感情の移り変わりを文字だけで伝えるのは難しい

「デザイン思考を知らない人に、入門書として勧められる本はないだろうか?」と考え、ここのところデザイン思考関連の本を片っ端から読んでいました。好きでやっていることとはいえ、同じテーマの本ばかりを読んでいるとさすがに息切れしてきます。少しライトな本も読んでみようと、Kindle Storeで購入したのが、この「まんがでわかるデザイン思考」です。

デザイン思考の本でありがちなパターンは次のようなものです。良いことは書いてあるけれども、入門者が本の内容をもとに次のアクションにつなげていくのが難しいという印象です。

  • デザイン思考のマインドセットは説明してくれるけれど、抽象的で実践が難しい
  • フレームワークやツールをたくさん載せているけれど、情報が多すぎて手が付けられない
  • 有名なイノベーションの事例を紹介してくれるけれど、スケールが大きすぎて参考にならない

デザイン思考は「マインドセット(思考様式)」だと言われます。デザイン思考の各ステップで、どのような体験をして何を感じるのか。そういった感情や思考の流れを文字だけで表現することは難しいのかもしれません。

まんがで具体的に解説してデザイン思考の実用性を高める

デザイン思考の入門書に求められているのは、具体性と実用性です。本書監修者の田村大さんは、あとがきに次のようなことを書かれています。

『では、どうデザイン思考を用いてイノベーションを起こしていくのか。「これを具体的に踏み込んで解説するような書籍を紹介してほしい」――これは、監修者にしばしば寄せられる質問だ。

https://www.shogakukan.co.jp/books/09388576

まさに入門者の気持ちを代弁してくれています。本書は、そういった「実践につなげたい」という声に応える目的で書かれています。

本書のストーリーは、カフェチェーンに勤める青年が、偶然出会った大手企業会長に教えを請いながら、赤字店舗の立て直しに挑むというものです。顧客に共感する、インサイト(洞察)を発見する、同僚とのブレストの中で新しいアイデアを生み出すといったステップが、ストーリーの中で展開されます。

ストーリーの流れ自体は、ビジネス書やそれを解説するまんがにありがちなものです。予定調和なストーリーに、「本当にイノベーションを起こせるのか」と思う人もいるかもしれません。

本来ならグループで進めていくべきデザイン思考のプロセスを、1人でいながら、まるでロールプレイングをしているように感じられるところが、まんがの良いところではないでしょうか。

デザイン思考に挫折した人にお勧め

わたしは職場でデザイン思考を広めようと活動をはじめていますが、まず興味をもってもらうことが難しいと感じています。では、まんがのこの本を紹介していけば、興味をもってもらえるかというと、そんな単純な話ではないです。たとえまんがであっても、職場のひとに勧めて読んでもらうことは難しいです。

この本がどんな人にうまくハマるかというと、一度デザイン思考の本を読んだけれど、挫折した人。あるいは、デザイン思考に関する本を読んで、なんとなく理解できたけれど、腹落ちしないという人ではないでしょうか。わたしはそういった人に本書を勧めていく予定です。

デザイン思考の関連書籍を読んできて、まんが本にまでたどり着きました。Amazonのランキングに入っているデザイン思考本をあらかた読み終えた段階で、おすすめ本10選などのエントリーも書いていきたいですね。

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