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あなたはどれを読む?初心者におすすめするデザイン思考の本(書籍)を7冊紹介!

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これからデザイン思考を勉強しようと思うんだけど、どの本を読めばいいの?

日本でもデザイン思考(Design Thinking)という言葉が一般にも広く知られるようになり、洋書の翻訳書だけでなく、日本人の著者によって書かれたデザイン思考の本も多く出版されるようになってきました。

いまからデザイン思考を学んでいくときに、どの本を選べばいいのか。入門者は悩むところだと思います。

わたしは2021年からデザイン思考を学び始め、タイトルに「デザイン思考」が含まれている本を、片っ端から読んでいるところです。

今回は、そんなデザイン思考入門者のわたしが、実際に読んでみた本の中から7冊ピックアップして、紹介していこうと思います。

はじめてのデザイン思考 [伊豆 裕一]

まず初めに紹介する「はじめてのデザイン思考」は、2021年に出版された比較的新しい本です。

著者は静岡文化芸術大学の伊豆裕一教授。デザイン思考の思考方法、プロセス、ツール、実践方法までが網羅的にまとめられている非常にバランスのよい入門書です。まさに、デザイン思考の教科書と言ってもいいでしょう。

学生が企業に対してデザイン提案をした事例が写真として掲載されているのは非常に参考になります。

また、デザイン思考のプロセスごとの手法が「実践CARDs」としてまとめられています。これは、スマホアプリや巻末の付録として利用できるようになっています。

このような教育の現場からのフィードバックが盛り込まれていて、実践的であるのが本書の特徴です。

こんな人におすすめ

  • デザイン思考のマインドセット、プロセスを1冊で網羅的に学びたい
  • デザイン提案の実例を見たい
  • スケッチの方法など手を動かしながら考える表現スキルを学びたい

スタンフォード式デザイン思考 [ジャスパー・ウ]

デザイン思考の総本山であるスタンフォード大学d*school出身のジャスパー・ウさんが、日本人のために書き下ろした本です。

ロボット工学のエンジニアである著者は、「どのようにすれば人々が求める製品やサービスを作ることができるのだろう」という疑問から、スタンフォード大学でデザイン思考を学ぶに至りました。

ザイン思考がなぜ必要なのか、そしてデザイン思考を実践していくためには、どのようなことに気をつければよいのかが、大学で学んだ経験をもとに解説されています。

そしてタイトルに"実践"と書かれている通り、すぐに使えるツールキットも解説されています。取り組むトピックを決めて、共感、定義、アイデア、プロトタイプ、テストのサイクルを一周するまでの期間を設定し、実際にそれらを実行できるような仕組みになっています。

わたしはデザイン思考のワークショップに初めて参加するときに、予備知識を得ておきたくてこの本を購入しました。

デザイン思考の考え方、プロセスを学び、最小構成のツールキットで実践できるところが、おすすめするポイントです。

こんな人におすすめ

  • 初心者でも扱える簡易的なツールキットを知りたい
  • 身近なテーマに関する事例を参考にしたい
  • 初心者ファシリテーションに役立つポイントを知りたい

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デザイン思考の授業 [佐宗 邦威]

本書は、2015年に出版された「21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由」の文庫版です。初版が出版されてからの約5年間の情報を補完するために、巻末の対談などが追加されています。購入される場合は、こちらの文庫版をおすすめします。

著者は共創型戦略デザインファームBIOTOPE代表の佐宗邦威さん。イリノイ工科大学デザイン学科に留学し、「ビジネスマンがデザインスクールで学ぶ」ということを実践した、日本におけるデザイン思考のパイオニアです。

非デザイナーがデザイン思考を学んできた経験をもとに、デザイン思考の概論、思考法、マインドセット、プロセス、ツール、キャリア、経営戦略、幸福といった視点で書かれています。

本書と他の本との違いは、キャリアや幸福について書かれているところです。

1つめのキャリアの章では、非デザイナーがデザイン思考を実践していくためのキャリア・パスが書かれています。イノベーションの世界におけるキャリア・パスを模索している人にはおすすめです。

2つめの幸福の章は、わたしが特に気に入っている内容です。「クリエイティビティを発揮して生きる」といった、人間が本来持っている根源的な喜びについて触れられています。この章を読むと、デザイン思考の可能性を感じて、わくわくした気持ちになれます。

こんな人におすすめ

  • 非デザイナーがデザイン思考を実践していくコツを学びたい
  • デザインというビジネスキャリアを模索している
  • 幸せに生きるスキルとしてデザイン思考を学びたい

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まんがでわかるデザイン思考 [小田 ビンチ]

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多くの出版社から刊行されている「まんがでわかる」シリーズ。固い内容の実用書が分かりやすい漫画で読めるということで、さまざまなテーマの漫画が出版されています。

その中でも、デザイン思考を漫画で解説しているのが本書「まんがでわかるデザイン思考」です。

デザイン思考は「マインドセット(思考様式)」だと言われます。デザイン思考の各プロセスで、どのような体験をして何を感じるのか。そういった感情や思考の流れを文字だけで表現することは難しいところがあります。

本書の主人公である、カフェチェーンに勤める青年の気持ちに共感しながら、デザイン思考を使いながら店舗立て直しに挑むプロセスを疑似体験してみてはいかがでしょうか。

こんな人におすすめ

  • 手っ取り早くデザイン思考がどんなものなのかを知りたい人
  • デザイン思考の本を読んで内容の難しさに挫折してしまった人
  • デザイン思考のプロセスをストーリーの中で確認したい人

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デザイン思考が世界を変える [ティム・ブラウン]

デザイン思考の伝道師として知られるIDEO CEOティム・ブラウンが初めて書いた本が、この「デザイン思考が世界を変える」です。2009年に刊行された、デザイン思考の草分け的な本です。

2019年に原書の刊行10周年を記念して、アップデート版が刊行されました。10年間のデザイン思考の進展と、今後の発展について書かれた新たな章が追加されています。また、翻訳も見直されているため、いまから購入するならアップデート版をおすすめします。

本書の内容は、企業で実践されてきたデザイン思考の事例研究(ケーススタディ)がベースとなっています。40弱の事例をもとに、デザイン思考がどのようなものなのかを解説していくという構成になっています。

原書が出版されたのは2009年ですから、紹介されている事例は、「デザイン思考」という名前が世の中にひろく知られるまえのものが多いです。はじめからデザイン思考を意識してイノベーションを起こした事例だけでなく、分析してみると、結果としてデザイン思考を使っている、という事例も含まれています。

IDEOがデザイン思考をどのような考えのもとで普及させてきたのか、その原点を知るのにおすすめの本です。

入門者が1冊目に読む本としては、注意が必要。デザイン思考に関する抽象的な概念の説明が多く、図表による解説がないため、理解するのに苦労するかもしれません。

こんな人におすすめ

  • 「デザイン思考の伝道師」ティム・ブラウンの本が読みたい
  • デザイン思考が流行するきっかけとなった世界的ベストセラーを読みたい
  • デザイン思考の事例をたくさん知りたい

未来ビジネス図解 これからのデザイン思考 [小山田 那由他]

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デザイン思考のプロセスには、推進する団体や企業によって、いくつかの「流派」と呼べるような違いがあります。このあたりが頭の中で整理されていないと、「この本と、あの本で、言っていることが違うけれど、何が正しいの?」という疑問に直面します。

このような、疑問や誤解が生じやすい点を丁寧に図解してくれるのが本書「これからのデザイン思考」です。

著者は、株式会社コンセント サービスデザイナー/アートディレクターである小山田那由他さん。本書の構成はかなりデザインされていて分かりやすく、デザイナーのバックグラウンドがある方の本だとすぐに分かります。

『「デザイン思考」という言葉は、いつかなくなるべきものです。』という本書の一節は、とても印象的です。

「デザイン思考はあたりまえに使われるべきもの」という非常に共感できる考え方のものに書かれており、決して表面的なビジュアルの良さを追求した本ではありません。

これまで様々な書籍で得てきた断片的な知識を、本書を使って整理してみるのはいかがでしょうか。
(電子書籍で読まれる場合は、大きめの端末で読まれることをおすすめします。)

こんな人におすすめ

  • 図解された分かりやすい本を読みたい
  • デザイン思考の用語や歴史を丁寧に説明してほしい
  • デザイン思考の断片的な知識を体系的に整理したい

HELLO,DESIGN 日本人とデザイン [石川 俊祐]

最後に紹介するのは、「HELLO, DESIGN 日本人とデザイン」です。タイトルに「デザイン思考」という言葉が含まれていないので、Amazonなどで検索するとヒットしないため見落としがちです。

本書の著者は、Forbes JAPAN世界で影響力のあるデザイナー39名にも選出された、多摩美術大学特任准教授の石川俊祐さんです。

国内外のデザインコンサルティングファームに所属していた経験から、日本人に向けたデザイン思考の解説と、日本人だからこそ実現できる「デザイン思考」を活用した未来が語られています。

論理的、客観的、過去の実績を重視、といった創造性を阻害する考え方が根付いている。ユーザよりも売上目標や自社のリソース、保有スキルを優先的に考える。総合職で否定型的な役務をこなしている。

このような働き方に心当たりがある人は、ぜひ本書を読んで、日本人なりのデザイン思考の実践方法を学んでみてはいかがでしょうか。

こんな人におすすめ

  • IDEOに在籍していた日本人デザイナーの本が読みたい
  • 日本人のデザインに対する誤解を知りたい
  • 日本人だからこそできるデザイン思考の活用方法を知りたい

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さいごに:あなたに合ったデザイン思考本の選び方

こうして振り返ってみると様々なキャリアの人が、それぞれのアプローチの仕方でデザイン思考の本を上梓しています。自分がどのようなポジションにいて、何を学びたいのかを考えると、読みたい本にたどり着けるかもしれません。

  • IDEOや、元IDEOのデザイナーの書籍からデザイン思考の思想や価値観を学ぶ
  • マーケティングやエンジニアリングといった非デザイナーからデザイン思考を実践するためのノウハウを学ぶ
  • 大学で実践されているデザイン思考を習得するためのノウハウを学ぶ

また、巻末の引用図書などから、関連書籍をたどっていくのも興味が繋がって面白いですよね。おすすめの書籍があれば、ぜひTwitterなどで教えていただけると嬉しいです。

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