本の紹介

はじめに読むべきデザイン思考の入門書 - スタンフォード式デザイン思考 -

入門者がデザイン思考の本に求める条件とは

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デザイン思考を勉強したいんだけど、どの本から読めばいいんだろう?

2010年ごろから、デザイン思考に関する多くの本が出版されてきました。デザイン思考に関する情報を手軽に入手できるようになった一方で、入門者はどの本を読めばよいか迷うことでしょう。

わたしがデザイン思考の勉強をはじめたときには、次のような入門書があればいいな思っていました。

入門書の条件

  • 日本人の入門者にむけて書かれていること
  • 身近なテーマに関する事例や解説が掛かれていること
  • 初心者でも扱えるツールキット(フレームワーク)が掲載されていること

これらの条件を満たす本としておすすめするのが、「スタンフォード式デザイン思考」です。出版されたのは、2019年と少し前になりますが、いまでも入門書としておすすめできる本です。

入門者に向けた本書のおすすめポイント

日本人の入門者に向けて書かれていること

入門者におすすめしたい1つめのポイントは、デザイン思考の総本山であるスタンフォード大学d*school出身のジャスパー・ウさんが、日本人のために書いているというところです。

日本では、一般の人に対するデザイン思考の普及が海外ほど進んでいません。したがって、洋書を翻訳したものよりも、明確に日本人の入門者を意識して書かれた本の方が分かりやすいです。

本書から抜粋した以下の文章からは、デザイン思考が日本で十分に普及していないことを、意識して書いていることが分かります。

日本ではデザイン思考が問題解決の共通言語になっていないため、何らかの問題を考える際に「どのアイデアを試すか」ではなく、「どのように進めるか」から考えていくこともあり、問題解決のスピードを上げるためには、デザイン思考のように共通の考え方をもっていることは重要だといえます。

スタンフォード式デザイン思考 ジャスパー・ウ 2019

近なテーマに関する事例や解説が書かれていること

入門者におすすめする2つめのポイントは、スケールの小さい身近なテーマに関する事例や説明が書かれているところです。本書では、著者がスタンフォード大学d*schoolで経験したワークショップでの成功例や失敗例を交えながら、デザイン思考のプロセスを説明してくれます。

デザイン思考の多くの本は、配車サービスのウーバー(Uber)や民泊仲介サービスのAirbnb(エアービーアンドビー)といった、有名企業の成功事例をあげて、デザイン思考がいかにすばらしいかを説明してくれます。しかし、入門者が求めているのは、そのような大きなスケールの事例ではなく、今日から使える情報です。

本書で例にあげられているような「インスタントラーメンを食べる体験」をデザインするといった事例のほうが、デザイン思考を始める場合には役に立つでしょう。

初心者でも扱えるツールキットが掲載されていること

入門者におすすめする最後のポイントは、1人でも使えるツールキットが提供されているということです。

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デザイン思考のイメージはなんとなく分かっているけれど、具体的に、何を使ってどのように進めればいいの?

デザイン思考では、このツールキットと呼ばれるテンプレートを活用することで、プロセスをスムーズに進めていくのが一般的です。本書では、ツールキットのことを次のように説明しています。

ツールキットというのは、デザイン思考の各プロセスを進めていく際に、考えをうまくまとめ、行うべきことを明確にして、プロセスをスムーズにすすめるためのフレームワークです。

スタンフォード式デザイン思考 ジャスパー・ウ 2019

通常、デザイン思考を実践する場合には、多様性を重視し、複数のメンバーが参加してプロセスを進めていきます。初心者がデザイン思考を実践しようとしたときに、まず最初のハードルとなるのが、このメンバー集めです。

メンバー集めをすることなく、まずは体験してみることを重視したのは、非常に良心的だと言えます。

まずは本書のツールキットを使ってみよう

デザイン思考は、DX(デジタルトランスフォーメーション)に必要なスキルとして語られることがありますが、その適用範囲は多岐にわたります。もちろん、自分の身の回りの問題を解決するためにも使えます。

まずは、本書を活用し、デザイン思考を使って身の回りの小さな問題を解決することからはじめるのがよいでしょう。

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